top of page


(注1) 実のところは、「おもむろに」ではなく考え抜いた末の結論だったのですが、話が長くなるのでそれについてはまた別の機会に・・・

(注2) 金額は実際のものと異なります

yamaki story
八百屋への道のり

2011年7月、50才を過ぎた私はおもむろに(注1)「そうだ、八百屋始めよう!」と思い立ち青果市場に買参人登録申請をし、その半月後には無事バッジ(買参人番号)を取得し​八百屋人生をスタートした。酒・食料品販売については30年近くの経験があったが、青果についてはほぼ素人。青果市場に仕入に行っても、何もわからない。産地?等階級?そんなの知らない・・・しかも、青果市場は一つの品目に一人の担当者が就くというシステムで、すべての商品を仕入れるためには100人近くの担当者と面識を持たなければならないのであった。人と話すのは嫌いではないが、いきなり100人近くの初対面の人とやり取りするのは正直しんどい!記憶力の衰えを感じるお年頃でもあり、どの人がどの商品の担当かを覚えるだけでも大変だ。さらには金額のやり取りには符丁という市場の暗号のようなモノが使われ、ますます頭が混乱するのであった。

始めたばかりの8月、スイカを仕入れたくて果実売り場に行ってみると千葉県産・神奈川県産・山形県産・秋田県産と山のように積んでありどこから手を付けていいかさえわからない。しかも産地ごとに担当者が別々なのでひとりひとり聞かなくてはならない。

 私  「あの~、スイカほしいんですけど。」

 担当者「どんなのさがしてんの?」
 私  「美味しくて、できれば安いやつありますか?」

 担当者「等級は?サイズは?価格は?」

 私  「???」

 担当者「秀4Lでゲタメ、優等3Lがヤッコ、マルSはチョンガレンでいいよ~」(注2)

 私  「・・・・・・・・」

これまで私が扱ってきた食料品類の仕入れの場合、商品1個単価が明確に表示されているので、高い安いの判断が即座に可能だ。しかしこの世界はなぜか、箱単位での価格提示が常なのである。必然的に箱の中に何個入っているのかを確認し、箱の価格を入数で割るという作業が必要になる。暗算の苦手な私にまたもや苦悩の時間が襲ってくる!例えば、スイカは大きさによって入っている数がまちまちだ。4Lサイズだと2個入りで、ゲタメ=3500円を解読したのち3500÷2=1750円という事を一瞬にして行わなければならない。ムリだ・・・絶望的だ。しかし周りの八百屋は普通にやっている。電卓叩いてる姿などどこにもない。後でわかったのだが、これは慣れの問題で常に箱価格で取引していると、過去取引した箱価格が身についてくるので、それとの比較が出来るようになる。前回はヨツヤ(4000円)だったけど今回はゲタメ(3500円)か、よっしゃ値下がりしたぞ。と言う具合で。しかし数百品目ある商品の箱価格がすぐさま頭に入るわけもなく、その入数が判るわけでもなく、その都度、八百屋歴うん十年の先輩たちの横で、カチャカチャ電卓をたたく、一年生八百屋の私なのであった。

!
Widget Didn’t Load
Check your internet and refresh this page.
If that doesn’t work, contact us.
bottom of page